一口馬主は儲からない?3年・6クラブの実データで正直に答える
「一口馬主って儲からないの?」
これが一口馬主のサジェストで一番上に出てくるくらい、多くの人が気にしていることです。
結論から言います。「儲からない」という答えは半分正解で、半分は定義の問題です。
この記事では、3年間・6クラブ・40頭以上に出資してきた筆者(社畜TK)が、実際の数字をもとに正直に答えます。マネーフォワードの税理士監修記事などのデータも引用しながら、「実際のところどうなのか」を包み隠さず書きます。
結論:一口馬主で儲かる人は1〜2割
まず業界全体の話から。
一口馬主で収支がプラスになる確率は、一般的に1割から2割程度といわれています。これは公式統計ではありませんが、多くのクラブや出資者の実績から共有されている数字です。
つまり8〜9割の人は金銭的にはマイナスで終わっているというのが現実です。
ただしこの数字だけで「儲からないからやめておけ」と判断するのは早いです。「儲かる・儲からない」の定義を正しく理解した上で判断してください。
儲からない6つの構造的な理由
一口馬主の収支がマイナスになりやすい理由には構造的な背景があります。
① 馬代金以外の維持費が毎月かかる
一口馬主の費用は最初にかかる出資金(馬代金)だけではありません。クラブの月会費(毎月3,000円程度)と馬の維持費の出資分(1口あたり月1,000円〜2,500円程度)が、馬が引退するまで毎月発生し続けます。馬がレースに出走していなくても、この費用は発生します。
これが積み重なると、馬代金を回収する前に維持費だけで大きな金額になります。
② 賞金から控除される金額が多い
レースで獲得した賞金からは、騎手や調教師への進上金(賞金の約20%)、クラブへの運用手数料(賞金の約5%〜)などが差し引かれます。一般的に、獲得賞金のうち出資者の手元に入るのは6〜7割程度とされています。
つまり馬が稼いでも、全額が分配されるわけではありません。
③ 勝ち上がれる馬は半数以下
出資した馬が順調にデビューし、そこから1勝できる馬は世代の半数にも満たないといわれています。ほとんどの馬は未勝利戦を勝てないまま引退していきます。
未勝利で引退した場合、分配金はほぼゼロのまま維持費だけが積み上がります。
④ 故障・アクシデントのリスクがある
競走馬は非常にデリケートな動物であり、故障のリスクが常につきまといます。順調に調教が進んでいても、レース前の故障で長期離脱したり、最悪の場合デビュー前に引退となったりするケースも少なくありません。
⑤ 損益通算ができない(税務上の不利)
一口馬主で得た利益や損失は、税務上「雑所得」として扱われます。もし年間で大きな赤字が出たとしても、雑所得の赤字は給与所得など他の所得と相殺する「損益通算」ができません。
儲からなかった年も、税制上の恩恵はありません。
⑥ そもそも儲けるための設計ではない
一口馬主の仕組みは、金融商品としての側面を持ちながらも、本質的には馬主体験という娯楽・サービスを提供する側面が強く、構造的に儲けを第一に追求するようには設計されていないと考えるほうが自然です。
儲かるにはどれくらいの活躍が必要?シミュレーション
募集総額2,000万円(500口)の馬に1口出資する場合を考えます。出資金4万円に加え、3年間(36ヶ月)の維持費・会費が月約4,000円とすると、総コストは約18万4,000円になります。これを配当金で回収するためには、馬全体で約1億4,150万円もの賞金を獲得する必要があります。これはG1レースを勝つか、重賞でコンスタントに活躍しなければ達成できない数字です。
現実として、条件戦レベルの勝利では馬代金・維持費を全回収するのは難しいということがわかります。
儲かったケースも実在する
アーモンドアイ(シルクホースクラブ)の場合、募集総額3,000万円(500口・1口6万円)で募集されました。生涯獲得賞金は約19億1,500万円で、1口あたりの配当金は約248万円。出資金6万円を差し引いても1口あたり約242万円のプラスになった計算です。ただし、これは数千頭に一頭という奇跡的な成功例です。
宝くじに近い確率ですが、ゼロではありません。
筆者の実データ:回収率146.9%の内訳
3年間の筆者のデータを公開します。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 償却済み出資金(引退馬の馬代金) | 43.3万円 |
| 控除前配当金(分配金合計) | 63.6万円 |
| 回収率(馬代金ベース) | 146.9% |
ただしこれは引退した馬の馬代金だけに対する数字です。現役馬の維持費・会費・現在進行中のコストを全部含めたトータルはマイナスです。
筆者の最高配当馬:フォルテム(回収率459%)
全出資馬の中で現時点で一番コスパが良いのが、ノルマンディーオーナーズクラブのフォルテムです。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 募集額(1口) | 29,000円 |
| 控除前配当金(累計) | 133,000円 |
| 勝利数 | 3勝 |
| 回収率(配当金÷馬代金) | 459% |
馬代金2.9万円の馬が13.3万円の配当を生み出しています。
もちろん維持費・月会費を足せば回収率は下がりますが、それでも十分にプラスです。
ノルマンディーのような400口クラブの場合、安価な馬でもこういったお宝が出ることがあるのが面白いところです。逆に言うと、こういう馬が1頭出ると、他の馬のコストをある程度カバーしてくれます。
「儲かる」確率を上げるための4つの戦略
一口馬主クラブにはさまざまな特色があります。G1馬を多く輩出する大手クラブは良血馬が多い反面、募集価格が高く人気馬は抽選になることも。募集口数も40口・100口・500口・2000口など異なり、大口は当たった時のリターンが大きいハイリスク・ハイリターン、小口はローリスク・ローリターンの傾向があります。
① クラブと自分のスタイルを合わせる
大きなリターンを狙うなら40口・400口クラブ。少額で分散するなら2,000口クラブ。
② 血統と厩舎を重視する
父がリーディングサイアーであり、母や近親にも活躍馬がいるような良血馬は活躍する確率が高いです。また預託厩舎がG1勝利経験の豊富なリーディング上位の厩舎かどうかも重要な判断材料です。
③ 堅実に走れる馬を選ぶ
G1のような派手な活躍でなくとも、未勝利戦を確実に勝ち上がり、大きなケガなくコンスタントにレースに出走し、コツコツと賞金を稼いでくれる馬を選ぶことも戦略です。
④ 複数頭に分散出資する
1頭に集中投資するのではなく、複数の馬に分散して出資することで、何頭かが勝ち上がり全体の赤字幅を減らしてくれる可能性が高まります。ただしその分維持費の総額も増えるため注意が必要です。
確定申告はどうなる?
一口馬主で得られる配当金は税務上「雑所得」に分類されます。会社員の場合、給与所得以外の所得の合計額が年間20万円を超えると確定申告が必要です。この20万円は配当金そのものではなく、配当金から経費を差し引いた「利益」の金額です。
筆者の場合、配当金が20万円以下の年でも確定申告することで19,000円の還付を受けました。他に控除(医療費・ふるさと納税など)がある場合は、一口馬主の配当と合わせて申告した方がお得になることがあります。
儲からないのになぜ続けるのか
一口馬主の本当の価値は、愛馬の成長に寄り添い、競馬というドラマの当事者となり、勝利の感動を分かち合うという体験にあります。
筆者が3年間続けてきた理由もそこにあります。
フォルテムが3勝目を上げた瞬間、「29,000円が133,000円になった」という計算は頭の中にありませんでした。ただ純粋に嬉しかった。その感情のために毎月の維持費を払っているんだと思います。
一口馬主とは、儲けを期待する投資ではなく、自らが見込んだ一頭の競走馬に対するロマンや興奮を得るための対価を伴う趣味です。その構造を正しく理解し、余剰資金の範囲でその価値を見出せるのであれば、これほどエキサイティングな趣味はほかにないでしょう。
まとめ:一口馬主は「儲かる趣味」ではなく「価値ある趣味」
| 問い | 答え |
|---|---|
| 儲かる人の割合は? | 1〜2割程度 |
| トータルで黒字になるか? | 維持費込みではほぼマイナス |
| 馬代金だけなら? | 良い馬に当たれば回収できる(筆者146.9%) |
| 最高でどれくらい? | フォルテムは回収率459%(筆者実績) |
| やる意味はあるか? | 金銭以外の体験価値が大きい |
「月々の費用を娯楽費として割り切れるか」が、一口馬主を楽しめるかどうかの分岐点です。投資として考えると失望します。応援する権利を買っていると考えると、楽しみ方が変わります。
各クラブの費用感・評判の詳細はこちら。
👉 ノルマンディーオーナーズクラブの評判【実体験】
👉 一口馬主の年間コストを全公開
👉 一口馬主クラブ比較ランキング
本記事の数字は筆者(社畜TK)の実際の収支データに基づいています。投資・資産運用目的での一口馬主はおすすめしません。税務については税理士にご相談ください。
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