一口馬主の費用で、私が分かりづらいと感じていたものの一つが保険料です。
「馬代の何%」という説明は見かけますが、それだけだと、毎年いくら払うのか、年齢でどう変わるのか、何かあったときにどこまで補償されるのかがつながりにくいんですよね。
整理すると、確認する順番は「保険加入額」「保険料率」「自分の出資口数」「支払時期」の4つです。そのうえで、保険金が支払われる条件を読みます。
今回はノルマンディーオーナーズクラブ、シルク・ホースクラブ、東京サラブレッドクラブの公式案内をもとに、保険料の見方をまとめました。
※情報確認日:2026年10月6日。以下は公開案内にある基本条件です。対象馬・募集年度・特約などによって扱いが異なるため、実際の請求や補償は、その馬に適用される最新の書面とクラブのお知らせで確認してください。
まず「保険料」「保険加入額」「保険金」を分ける
似た言葉ですが、それぞれ役割が違います。
- 保険料:保険への加入に必要な費用。会員には保険料出資金などの名目で請求されます。
- 保険加入額:保険料や補償額を計算するときの基準になる金額。
- 保険金:事故や疾病などが、所定の支払条件を満たした場合に支払われるお金。
たとえば「募集価格の70%を保険加入額にする」という説明は、募集価格の70%を毎年支払うという意味ではありません。その加入額に、別途定められた保険料率を掛けて保険料を計算します。
また、保険加入額が100%でも、どのような引退理由でもその全額が支払われるとは限りません。支払事由ごとの条件まで読む必要があります。
保険料の計算方法を、仮の1頭で確認する
基本形は、次のように考えると整理しやすくなります。
年間の保険料負担の目安=1頭全体の保険加入額×保険料率×自分の出資割合
募集価格に対して年齢別の割合を掛ける方式なら、次の形でも同じです。
募集総額×年齢別の加入割合×保険料率÷募集口数×自分の口数
ここでは、募集総額2,000万円・400口募集・1口5万円の馬に、1口出資したと仮定します。私の出資馬や請求実績ではなく、仕組みを理解するための計算例です。
ノルマンディーの公式FAQにある通常の年齢別加入割合と、必要費用ページにある予定料率3.2%を仮に適用した例は、次のとおりです。将来の確定請求額を示すものではありません。
- 2歳:5万円×100%×3.2%=年間1,600円
- 3歳:5万円×70%×3.2%=年間1,120円
- 4歳以上:5万円×50%×3.2%=年間800円
同じ条件で2口持っていれば、それぞれの金額も2口分になります。複数頭に出資している場合は、馬ごとに計算した保険料を合計します。
ただし、ノルマンディーでは平地重賞勝ち馬や障害競走に出走する馬について別の扱いも示されています。年齢だけで請求額を決めつけないことが大切です。
出典:ノルマンディー公式FAQ、必要費用
クラブによって、割合も支払月も違う
公式案内で確認できる基本条件を並べると、違いが見えます。
ノルマンディーオーナーズクラブ
- 保険料率:必要費用ページでは3.2%の予定と記載
- 通常の加入割合:2歳100%、3歳70%、4歳以上50%
- 支払時期:年1回、毎年12月
- 重賞勝ち馬などは別条件があるため、対象馬の扱いも確認
シルク・ホースクラブ
- 保険料率:3.0%。公式記載の基準日は2026年7月1日
- 通常の加入割合:2歳100%、3歳70%、4歳以上50%
- 支払時期:原則、前年11月度精算・12月口座振替で翌年分を請求
- 2歳GⅠ、または3歳以上の平地重賞優勝馬は、馬齢にかかわらず募集価格の100%
- 特別募集馬の加入日や支払時期は個別に設定
東京サラブレッドクラブ
- 保険料率:公式FAQでは3.2%と記載
- FAQの加入割合:2歳100%、3・4歳70%、5歳60%、6歳以上50%
- 支払時期:毎年12月度分として請求、翌1月に支払い
- 1歳12月以降に申し込んだ場合は、初回支払い時の請求についても確認
出典:東サラ公式FAQ
ここで気づきたいのは、同じ4歳でも、シルクの通常条件は50%、東サラのFAQでは70%になっていることです。
「どのクラブも年齢が上がれば同じ割合になる」と覚えると、計算がずれます。料率だけを比較するより、加入割合と支払時期までセットで見るほうが実用的です。
保険があると、どこまで戻ってくるのか
補償については、「保険に入っているから安心」とまとめず、何が起きた場合の支払いなのかを確認したいところです。
たとえばシルクの公式案内では、事故や疾病による死亡などと、競走能力喪失、未出走が確定した場合、一部の手術などを分けて説明しています。競走能力喪失の診断を受けた場合は保険加入額の20%とされ、所定の未出走馬には別の条件もあります。
手術についても対象や支払限度があるため、治療費がすべて補償される前提では考えられません。
また、一口馬主には元本や収入の保証がありません。成績が振るわない、期待した賞金を得られない、といった結果まで保険が埋めてくれると考えないことが重要です。
出典:シルク「競走馬保険」「競走用馬ファンドのリスク等特徴」
確認したいのは、次の5点です。
- どの事故・疾病・状態が支払対象になるのか
- どの診断や認定が必要なのか
- 保険加入額に対して何%が支払われるのか
- 支払限度や対象外となる条件はあるか
- 会員への分配は、どの書面のどの項目に従うのか
この記事は免責条件のすべてを列挙したものではありません。個別の馬に起きた事例で判断したい場合は、クラブの説明と適用される書面を確認してください。
年末年始の支払いは「何月分」と「支払月」を分ける
費用を管理するときに紛らわしいのが、精算月・請求対象月と、実際に口座から支払う月の違いです。
たとえばシルクは、原則「11月度精算・12月口座振替」。東サラは「12月度分・1月支払い」です。
記録するなら、「保険料は年末」だけでなく、次のように分けると確認しやすくなります。
- 馬名と出資口数
- 保険の対象年と、その年の馬齢
- 計算に使われる加入額・料率
- 年間の保険料
- 請求対象月と、実際の支払月
また、年度途中の申し込みでも、保険料が自動的に残り月数分だけになるとは決めつけないほうがよさそうです。初回請求の扱いは、申し込むクラブと対象馬の案内で確認しましょう。
入会・出資前に見る保険料チェックリスト
最後に、募集馬を見る前の確認項目をまとめます。
- 保険料率は何%で、いつの条件か
- 計算の基準になる募集価格・保険加入額はいくらか
- 年齢や競走実績で加入額が変わるか
- 自分の口数では年間いくらになるか
- 保険はいつから始まり、いつ支払うか
- 特約・支払限度・対象外の条件を確認したか
- 年度途中の出資や引退時の扱いを確認したか
募集価格は分かりやすい数字ですが、保険料はその後の年齢やクラブの条件も関係します。「一口5万円」と「その馬を続けて応援するために必要な費用」は、分けて整理しておきたいところです。
私自身、保険料は分かりづらいと感じていた部分でした。これから入会する方は、候補の馬について1年分だけでも計算し、支払月まで書き出してみると、募集価格以外の費用が見えやすくなると思います。
費用全体については、一口馬主の費用と申込条件を整理した記事もあわせてご覧ください。
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